メンバーズ

型にはまらない自由な発想を生かし動的コンテンツによる企業ブランディングの確立をめざす

提案の鍵となるのは入社1年目のまっさらな感性

コミュニケーション・デザイン・グループ、クリエイティブチームのリーダーを務める小峰には、メンターとして指導する後輩がいる。2015年4月に新卒入社した上田だ。

実践に伴うOJTはもちろん1日1時間の勉強会を行い、仕事に必要なスキルや知識を身に付けさせている。大学では外国語を専攻していた上田には、1から学ぶ毎日だ。そんな小峰と上田にとって、大きなチャンスがやってきた。あるエンジンメーカーのWEBサイトリニューアル提案だ。

クライアントであるエンジンメーカーは、国内最大級の技術力と規模を誇りながらも一般消費者への知名度は低い。BtoB事業であり世界を市場に活躍しているため、国内でのPRにこれまで必要性を感じていなかったのが原因だ。そのため、マインドフリー主導でのサイトリニューアルが可能という好条件。

小峰はこのプロジェクトの主力メンバーとして、上田を抜擢した。「入社して約1年。これまで学んできた知識やスキルをぶつける大きなチャンスだと思いました」。

これまで業務の1部分を担当してきた上田にとって、プロジェクト全体に関わる初めての経験となる。最初は不安な表情を見せていた上田だが、徐々に積極的な発言が増えていった。

現行のWEBサイトはサーバー容量も小さく、静的コンテンツがあるのみでデザインも古い。製品情報も分かりにくく、ほとんど機能していない状況と言えた。

まずはサーバーを移行しデータ処理の容量を拡大した上で、製品検索システムを導入。コンテンツを整理し、ユーザビリティを高めたデザインを提案していくのが基本ラインだ。

「しかし、それだけはつまらない」と二人は考える。積極的なPRがなくてもビジネスに支障はないと考えてきたクライアントだが、実際にはより優秀な人材の確保や新たなビジネスチャンスの開拓という数々のチャンスを取りこぼしているはずだ。

どうすればクライアントの気持ちを動かし、より魅力的なWEBサイトへと再構築できるのか――。そこで小峰が期待したのが、上田のまっさらな感性だ。

「ある程度経験を積むと、安全策も分かってくる。でも、何かしら新たなことに挑戦するためには、そうした過去の経験が返って邪魔になることも。前例に捕らわれない自由な発想から、提案の道筋を見出そうと考えました」と小峰。

こうして上田にとって初めての大型プロジェクトがスタートした。

まずはやってみて壁を突き抜けることで道は拓ける

上田がまず感じたのは、「この会社の技術の高さを、広く認識させたい」という思いだ。モノづくりへのこだわりや、熟練の技工士たちの思いがあってこその優れた製品。それを知らしめることで、クライントが持つ可能性を広げていけるのではないか。

「実際、クライアントよりも事業規模が小さい企業が、知名度の高さゆえに大手企業というイメージがある。私自身、就職活動をしている中で、イメージは選択する上での重要な要素となりました。だからこそ、企業イメージを向上させるコンテンツが必要なのでは」と訴える。

クライアントの工場を訪ね、製造過程を目の当たりにした時に得た熱い感動。それこそが上田の制作意欲を突き動かしていた。

そうした上田の思いを受け、小峰が提案の主軸に置いたのが動画による企業ブランディングだ。製造現場の臨場感あふれる映像によって、クライアントの技術へのこだわりや優れた技を伝えていく。一つの言葉よりも雄弁に語るメッセージにすることで、企業イメージの向上につながるだろう。

この提案はクライアントにも受け入られ、シナリオ構成の作成や撮影の段取りなど、二人の毎日は俄然慌ただしくなってきた。さらに、さまざまな企業サイトを研究する中で、「かしこまったものよりキャンペーン企画のような動きのあるコンテンツはつくれないか」など、次々と上田の口から意見やアイデアが飛び出してくる。

最初は自信がなく、発言ひとつにも小峰の顔色をうかがっていた上田の目を見張る成長ぶり。それを誰よりも喜んでいるのが小峰自身だ。

「もちろんアイデアの多くは荒削りで、実際のビジネスに落とし込むには検証や軌道修正が必要です。しかし、何よりも大切なのは、自ら“やりたい!”“挑戦したい!”と思いやってみることなんです」。

まずはやってみて現状の壁を突き破ってみる。たとえ失敗しても、そこには新しい道が拓けている。プロジェクトはまだ始まったばかりだが、「1年後の上田はすごいヤツになっているかも」と楽しみを隠せない。

互いにぶつけ合い学び合う中で成長していく

日に日に成長を実感するのは上田だけではない。常識に捕らわれないまっさらな感性は、入社3年目になる小峰を大いに刺激している。

「互いに意見をぶつけ合うたびに“そうくるか!”と驚かされる。無茶だと思う意見でも、冷静に考えてみるとあり得ない訳ではない。そのたびに凝り固まった自分自身の思考がほぐされていくようで、私自身学ばされることが多いですね」。

そんな二人は業務が終わった後の勉強会で、自由に語り合うことがある。つい最近では、将来の夢について盛り上がった。

「もっともっといろんな面白いことを創り出していきたい。例えば夢のようなオフィス。デスクの上からキーボードを取っ払って、プロジェクションマッピングのような投影でキー操作できるとか」と熱く話す小峰に、上田も自身の夢を描き出していく。

「正直まだまだ目の前の仕事に精一杯で、夢を見つけるのが今の課題。でも、仕事に取り組んでいくなかでやりたいことや挑戦したいことがどんどん膨らんでいます。それを一つひとつ形にすることが、当面の目標です」と上田は話す。

社員の顔を見れば「今日はどんな面白いことした?」と話しかけるマインドフリーのトップ陣。彼らが創り上げてきた風土は、自由そのものだ。

現在10周年プロジェクトと称して、社員全員で10個のプロジェクトを立ち上げようとしている中、飲食店などデジタルを超えたリアルなサービスに展開してく発想も飛び出すほどだ。

「固定観念にとらわれないというのは、言葉で言うほど簡単ではないのかも知れません。自由だからこそ難しいこともある。でも、常に新しいこと、より面白いことを追求する毎日は刺激的で楽しいし、もっともっと挑戦していくためにいろんなことを吸収したい」と小峰と上田。

互いの考え学び合う中で、新たなフィールドへと突き進んでいる。

小規模のIT企業で3年間勤務。その後、より大きな舞台で新しい事に挑戦するためにマインドフリーへ。実績や経験ではなく、人柄人間性を見る採用姿勢に共感したのが入社の理由。「いろいろな仕事を任されチャンスを与えてくれる」という舞台で、現在も成長中。クリエイティブチームのリーダーとして組織の強化を目指す。

大学では外国語学部を専攻し、就職活動では広告・マスコミ業界を志望。昔から「人の心を動かすことがしたい、つくりたい」という想いがあり、「0+α」を掲げるマインドフリーの企業理念に共感し入社。知識・スキルともにゼロの状態からスタートし、先輩社員の親身な指導のもとメキメキと実力を伸ばしている。